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「ナルトダンス」とは


アニメ『NARUTO -ナルト-』が世界中で愛される中で、その独特の動きがインターネットを通じて新たな文化現象を生み出しました。それが「ナルトダンス」です。単なるキャラクターの模倣を超え、ミームとして、またTikTokなどのSNSで独自の進化を遂げたこの現象について、その定義から文化的な影響まで徹底解説します。

1. 「ナルトダンス」の定義と起源

「ナルトダンス」という言葉は、主に以下の2つの意味合いで使われます。

1-1. ナルト走り(Naruto Run)

最も広く知られているのが、アニメ『NARUTO -ナルト-』に登場する忍者たちの独特の走法、通称「ナルト走り」です。腕を後ろに投げ出し、前傾姿勢で疾走するこのスタイルは、作品の世界観を象徴する動きとして、ファンの間で模倣されるようになりました。アニメが放送された2002年頃からファンの間で自然発生的に模倣が始まり、インターネットの普及とともにその認知度を高めていきました。これはアニメ発祥のファン主導のミームと言えます。

1-2. TikTokにおける「ナルトダンス」(影分身の術ダンスなど)

近年、特に中国のTikTok(Douyin)から広がり、日本を含む世界中で流行した特定のダンスを指すこともあります。これは、アニメに登場する「影分身の術」のポーズなどを取り入れた、キレのある動きが特徴のリズミカルなダンスです。元々はアニメとは直接関係のないオリジナルダンスに、後からナルトの要素が加えられたとされており、音楽や「いまこれ構文」といった独自のトレンドと結びついて急速に拡散しました。

2. 主要な特徴と動き

2-1. ナルト走り(Naruto Run)の動き

ナルト走りの特徴は以下の通りです。

  • 腕を後ろに引く: 肩甲骨を意識して腕を後方に固定するか、腕を大きく振らずに体に密着させます。これにより空気抵抗を減らす効果があるとされています(ただし、現実の効率性は議論の余地があります)。

  • 前傾姿勢: 体全体を前方に大きく傾け、重心を前に置くことで、より速く進むことを目指します。

  • 二軸走法とピッチ走法: 日本の伝統的な走法である「ナンバ走り」にも通じる、体を左右にブレさせずに一直線に進む二軸走法に近い動きです。ストライドを狭くし、ピッチ数(足の回転数)を増やすことでスピードを稼ぐとされています。

この走法は、現実世界で再現しようとするとバランスが難しく、ある程度の訓練が必要となります。

2-2. TikTokにおける「ナルトダンス」の動き

TikTokで流行した「ナルトダンス」は、具体的な特定の振付が存在しますが、共通の特徴として以下の点が挙げられます。

  • 影分身の術のポーズ: 両手で印を結び、分身を生み出すようなポーズが随所に組み込まれます。

  • キレのある動き: リズミカルでテンポの速い音楽に合わせて、全身を使ったシャープな動きが特徴です。

  • 「いまこれ構文」との連動: 「いまから〇〇します」というメッセージに続いて、ダンスを披露する動画形式が流行しました。

  • 多様なバリエーション: 中国発祥のダンスを基盤としながらも、ユーザーによって様々なアレンジが加えられ、多種多様なバリエーションが生まれています。

3. 人気度と普及状況

「ナルトダンス」は、インターネットミームとして、またSNSトレンドとして世界中で爆発的に普及しました。

  • インターネットミームとしての拡散:

    • エリア51襲撃計画: 2019年にアメリカで「エリア51をナルト走りで襲撃しよう」という冗談めいたイベントがSNSで広がり、実際に多数の参加者が集まる事態に発展しました。ナルト走りがインターネットミームの象徴として世界的に認知された出来事です。

    • リル・ナズ・XのMV: 人気ラッパー、リル・ナズ・Xの楽曲「Old Town Road」のリミックスMVにもナルト走りが登場し、若者を中心にさらなる認知度を獲得しました。

  • TikTokでの世界的流行:

    • 中国のDouyin(TikTok)で「ナルトダンス」が流行し、それが日本にも上陸。「いまこれ構文」やMrs. GREEN APPLEの楽曲「ライラック」の音源を使った動画が大量に投稿され、日本のTikTokトレンドを牽引しました。

  • ファンイベントでの披露:

    • 世界各地で開催されるコミックコンベンション(コミコン)などのアニメイベントでは、コスプレイヤーがナルト走りやナルトダンスを披露する光景が定番となっています。

    • 公式イベント「NARUTO大運動会」では、ナルト走りが競技として取り入れられるなど、ファンコミュニティの枠を超えた広がりを見せています。

4. 文化的な影響と意義

「ナルトダンス」がこれほどまでに普及した背景には、いくつか要因があります。

  • アニメ『NARUTO -ナルト-』の絶大な人気: グローバルな人気を誇る作品であるため、キャラクターの象徴的な動きが模倣されやすかったと言えます。

  • 視覚的なインパクトと模倣のしやすさ: ナルト走りの独特なフォームは非常に視覚的で印象に残りやすく、誰でも手軽に真似できるシンプルさがありました。TikTokのナルトダンスも、キレはあるものの、基本的な振り付けは覚えやすく、挑戦しやすいダンスとして受け入れられました。

  • インターネットミームとしての面白さ: 「なぜこの走り方をするのか?」という疑問や、現実世界で真似することの面白さが、インターネットミームとして拡散される原動力となりました。

  • コミュニケーションツールとしての役割: SNS上での動画投稿を通じて、ファン同士が繋がり、共通の文化を楽しむためのコミュニケーションツールとしても機能しています。

「ナルトダンス」は、アニメというフィクションの世界から飛び出し、ファン文化、ひいてはポップカルチャー全体に影響を与えた象徴的な現象と言えるでしょう。

5. 他のアニメ/漫画にインスパイアされたダンスとの比較

「ナルトダンス」のように、アニメや漫画の動きが流行するケースは他にもあります。

  • 『涼宮ハルヒの憂鬱』「ハレ晴レユカイ」ダンス:

    • アニメのエンディングで登場するキャラクターダンスが、インターネット上の「踊ってみた」文化の火付け役となりました。ニコニコ動画を中心に爆発的に広がり、声優自身がイベントで再演するなど、社会現象となりました。

    • 共通点: アニメの象徴的な動きがファンによって模倣・拡散された点。

    • 相違点: 「ハレ晴レユカイ」は元々ダンスとしてデザインされた動きであり、主に動画共有サイトで踊ってみた動画として流行したのに対し、「ナルト走り」は走法がミーム化したものであり、TikTokのナルトダンスは外部のダンスにナルト要素が加わったという経緯が異なります。

  • 『ジョジョの奇妙な冒険』「ジョジョ立ち」:

    • 漫画に登場するキャラクターの独特でスタイリッシュなポーズが、ファンの間で「ジョジョ立ち」として模倣されるようになりました。

    • 共通点: 漫画/アニメの視覚的なインパクトのあるポーズがファンによって模倣・拡散された点。

    • 相違点: 「ジョジョ立ち」は静止したポーズであるのに対し、「ナルトダンス」は動的な要素を含んでいます。

これらの現象に共通するのは、作品の人気模倣のしやすさ、そしてインターネットを通じた拡散力が、ファン文化を形成し、時には社会現象にまで発展させる力を持っているということです。

まとめ

「ナルトダンス」は、『NARUTO -ナルト-』という作品の持つ普遍的な魅力と、インターネットがもたらした新たなコミュニケーションの形が融合して生まれた、現代を象徴する文化現象です。単なる流行に留まらず、ファン同士の繋がりを深め、アニメ文化を世界に広める重要な役割を担っています。あなたの周りでも、ふとした瞬間に「ナルト走り」を見かけるかもしれませんね。

 
 
 

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